著者の秦建日子(はた たてひこ)さんは、テレビドラマの脚本家としても御活躍ですが、学生時代には早稲田大学の速記研究会に所属していたとのことです。
その学生時代の甘酸っぱい青春の思い出を綴ったこの小説は、サブタイトルの「人生には役に立たない特技」というフレーズが速記関係者には過激だったのか、一部で反感を買ってしまったのが残念ですが、私は嫌いじゃありません。美女に釣られて速記研究会に入ってしまった主人公の恋愛青春ストーリーとして、軽〜く読めばいいんじゃないでしょうか。
文科系クラブと思われがちな速記部が実はバリバリの体育会系というような雰囲気もよく伝わって面白いと思いますし、少しですが、早稲田式の速記文字も本文に登場します。何より「SOKKI」というタイトルが素晴らしい。
反面、やはりサブタイトルはもう一工夫してもらったほうがよかったかも……。