速記は21世紀対応の超高速文字です。人が話す内容を全て、そのままの速度で書き取っていける、それが速記です。


速記の誕生から今日まで

録音機の登場と速記

 速記の起源はローマ時代ですが、日本の速記は明治時代、ということは、録音という技術自体は既に開発されていました。ただ、実験段階や戦争での使用などを経て、民生用として一般家庭に普及するのは1960年ごろになります。
 私が子供だったころ、近所のオーディオマニアのお兄さんがオープンリール型のデッキを持っていたのを覚えています。さらに、その後、カセット型のものが出現して、一気に録音は一般人のものになっていきます。その後、LカセットやDAT、MD、CDなどを経て、現在ではいわゆるICレコーダーに代表されるデジタルレコーディングの時代になっています。
 さて、録音が広く一般に使用されるようになったころ、議論となったのが「速記vs録音」ということでした。記録作成を業としている人たちの間で、「速記と録音と、どちらが優秀か」ということが議論になり、録音支持者からは「速記不要論」が起こったわけです。一時、かなりの論争になったと記憶しています。
 私の考えは、「ケース・バイ・ケース」です。特に記録業の現場として考えてみた場合、録音だけで十分な場合もあれば、逆に速記でしか対応できないようなこともあるでしょう。現場は千差万別、全く同じケースはほとんどないのですから、その時々に合わせて最良の記録方法を使う、それがプロだと思っています。
 一言で言えば、速記と録音の併用が最強、あとは現場で要求されるレベルに応じて使い分ければいいだけです。国会や地方議会など、法で記録作成が要求される重要な会議では、確実に記録が作成できる体制ということで速記と録音の併用を望みたいところです。