「速記」という言葉を聞いて、あなたはどういうイメージを思い浮かべたでしょうか? ノートか何かに、いわゆる書きなぐりのような形で誰かの話などをメモしている御自分の姿でしょうか? 必死に手を動かしてメモをしているものの、書かれた文字は目茶苦茶で、短時間でグロッキー、そんなイメージでしょうか?
このごろは、ネット上で「授業で先生の話を必死で速記した」というような表現をよく見かけますが、一般の方の認識はそういうことなのでしょうか。
確かに、いつもより速く記しているわけですから、それも一種の速記と言えなくはありません。しかし、私の知っている速記は、それとは全く違います。一般の方が必死にメモをとるように速く書いたりしません。逆に、とてもゆっくり書きます。それでも、結果として速く書けてしまう、それが速記なんですね。
一般的に、人が話す速度は分速にして300字前後です。ところが、普通の文字で書ける速度は分速50字前後、速く書ける人でも分速80字前後でしょう。当然、分速300字で話されたら、どれだけ必死に手を動かしても、その発言の6分の1程度しか書き取れません。
ところが、速記を使えば100%全て、それも想像以上にゆっくりとした手の動きで書き取っていけます。それが速記の凄いところです。