速記は、速く手を動かして記録するのではなく、ゆっくり書いても結果的に速く記録できてしまうものなのですが、どうしてそんなことが可能なのでしょうか?
答えは簡単です。それだけ線量の少ない簡単な字で構成されているからなんですね。
例えば、「10秒間に「郵便番号」と10回書け」と言われても、それは絶対に不可能でしょう。どんなに速く手を動かしても無理です。ところが、「〒」ならどうでしょう。ゆっくり書いても1回書くのに1秒ぐらいしかかかりませんね。ということは、10秒間に10回書くことも十分可能です。
このとき意識してほしいのが、「手を動かす速度」です。恐らく、普通の文字で書くときに比べて、はるかにゆっくり動かしているのではないでしょうか。それなのに、「〒」の場合は比較にならないぐらい多くの回数「書けてしまう」わけですね。
「郵便番号」なら10秒間に1〜2回書くのが限度かと思いますが、「〒」を10秒間に2回だけ書きなさいと言われたら、手持ち無沙汰でしようがありません。
速記は、この「〒」のような簡単な線で全ての言葉を書き取っていけるようにつくられています。ですから、速く書く必要がないんですね。速記は「速く書く」のではなく「速く書けてしまう」ものだと、まずこの点をしっかり押さえておいてください。